「人の数だけ正義がある」──だから職場は悩ましい。でも、そこに希望もある。

組織の中で働いていると、いろんな“正しさ”に出会う。
経験、立場、価値観……背景が違えば、「正解」もまた違う。
誰かにとっての“当たり前”が、別の誰かにとっては“納得できないこと”だったりする。

そして、そんな「正義のズレ」は、職場の空気を重たくする。
でも、だからこそ考えたい。“違い”を否定せずに、どう受け止めていけるか。

今回は、現場で起きたちょっとしたすれ違いから、
「人の数だけ正義がある」というテーマを見つめてみたいと思う。

目次

「正しい」は一つじゃないと気づいた日

介護現場では、時間も人手も限られている。
だからこそ、「どうすれば効率的か」「どこを優先すべきか」という判断が日々求められる。
ある日、自分が「今は食堂で見守りをしながら記録を入力してほしい」と思って動こうとしたところ、同僚から「このタイミングでAさんのケアに入るべき」と指摘された。

そのときは内心「なんで?」と反発した。自分の判断が間違っているとは思わなかったし、むしろ相手が見えていないんじゃないかと思った。

でも後で振り返ったときに、同僚の背景には「昨日、Aさんは興奮していることが多く不安定だった」という情報があったことを知った。

ああ、相手にも“正義”があったんだ──
そのとき初めて、「正しい」は一つじゃないと実感した。

みんな自分の“背景”を持っている

職場にはいろんな人がいる。
ベテランもいれば新人もいるし、子育て中の人、親の介護をしている人、自分の健康と向き合っている人だっている。
もちろん性格も違えば、価値観も働く目的も違う。同じ出来事でも“見え方”が違うのは当たり前なんだよね。

だって生きてきた人生みんな違うんだから仕方がないよね…

たとえば「注意されて素直に直す人」もいれば、
「なぜ自分だけが言われたのか?」と感じてしまう人もいる。

何かズレがあったとき、その奥には“その人が生きてきた背景”が隠れていることが多い。
そしてそれが、「その人の正義」をつくっている。

たとえ言い方がきつくても、行動が理解しづらくても、
そこにある“背景”を知ると、少し見え方が変わることがある。

対話がないと、正義は衝突するだけ

「自分は正しい」と信じて行動することは、悪いことじゃない。
むしろ責任感があって、信念を持っている証拠でもある。

でも、そんな“正しさ”が二人以上集まるとき、そこには「すれ違い」が生まれる。
正義と正義がぶつかるとき、どちらが悪いわけじゃないのに、関係はギクシャクしてしまう。

そんなときに必要なのは「対話」なんだと思う。

話してみると、相手がなぜそう考えるのか、その背景が少し見えてくる。
「なるほど、そういう視点もあるのか」
そう思えるだけで、少し心がほぐれる。

一方的に伝えるだけじゃなく、ちゃんと聴く。
その繰り返しが、ぶつかりそうだった感情を“つなぐきっかけ”に変えてくれる。

そして気づくんだ。
「正しさ」って、一つじゃないんだって。

組織の正義と個人の正義をつなぐ仕事

中間管理職という立場になって、強く感じることがある。
それは、「組織の正義」と「個人の正義」は、しばしばズレるということ。

現場では、「もっと丁寧にやりたい」「目の前の人を大切にしたい」という個人の思いがある。
一方で、組織としては「効率化」「ルールの徹底」「数字の達成」が求められる。

どちらも間違っていない。
でも、このままだとぶつかる。

その“間”に立って、どちらの声も翻訳しながら、少しずつ形を整えていくのが自分の仕事なんだと思う。
片方に偏れば、もう一方に不満が溜まる。
両方の立場を理解しながら、「どうすればバランスが取れるか」を探る日々。

ときには「板挟み」になるだろう、いやむしろ「板挟みになる」だろう
上からも下からも嫌われる役目なのかもしれない
でも、自分は“つなぐ役割”だと思っている。
正義と正義が衝突しないように、橋をかける人でありたい。

まとめ:違いがあるからチームになる

誰だって、自分の中に“正義”を持っている。
その正義は、人生の中で育まれたもの。
だからこそ、誰の正義も否定できないし、簡単に変えられるものでもない。

でも、正義がぶつかり合ったときに大切なのは、
「どちらが正しいか」じゃなくて、「どうやって理解し合えるか」だと思う。

全部が同じなら、それは“組織”じゃなくて“ロボット集団”みたいなもの。
違いがあるからこそ、補い合えるし、新しい視点が生まれる。
そうやって、チームは強くなっていく。

これからも、自分の正義を大切にしながら、
誰かの正義にも耳を傾けていきたい。
それが、中間管理職としての自分の“役割”だと思っている。

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