「その欠勤、本当に“体調不良”?──中間管理職が感じる“理由の裏側”」

「明日は休み」──そう思っていた夜、スマホが鳴った。
「体調不良で明日お休みになります」
職場からの一報に、思わずため息がこぼれる。

もちろん、体調を崩すのは誰にでもあること。
疑ってはいけない、信じるべきだ──頭ではわかっている。
でも、これが何度も続くと、
「またか」「本当に?」という感情が、心のどこかで芽を出してしまう。

中間管理職として現場を支える立場にいると、
こうした“言葉にできないモヤモヤ”にぶつかる場面は少なくない。
疑いたくはないけど、信じきれない。
割り切れない気持ちを抱えながら、それでも現場を動かさなければいけない──

今回は、そんな“信じたいけれど、疲れてしまう自分”と向き合った1日の記録。
きっと誰かにとっても、「ああ、自分もそうかもしれない」と感じられる瞬間があるはず。

目次

急な欠勤、崩れるシフト──そのたびに誰かが無理をする

職場というのは、一人が欠けてもなんとか回そうと動く場所だ。
でもその「なんとか」は、誰かの我慢や負担の上に成り立っている。

今回もそうだった。
「体調不良で休みます」と連絡が入った瞬間、
自動的に“誰が代わりに出るか”の調整が始まる。

本来なら自分の休みだった日。
気づけば、予定していた家族との時間や、体を休めるはずだった時間は消えていた。

もちろん、欠勤したスタッフを責めたいわけじゃない。
体調を崩すのは仕方のないことだし、無理をしてこられても困る。

でも、その“仕方ない”が積み重なると、
どうしても「なんで、また自分なんだろう」と思ってしまうことがある。

本当はただ、少し休みたかっただけ。
「休ませてください」と声をあげなくても、
休めるはずの日が、また仕事で埋まっていく。

誰も悪くない。
だけど、誰かがずっと無理をしている。

そんな構図が、何度も繰り返されている気がしてならない。

「体調不良」は疑ってはいけない。でも、どうしても気になる時もある

「体調不良です」
その一言で、現場のシフトは一気にバランスを崩す。

もちろん、体調が悪いなら無理をしてはいけない。
そして、誰かの“しんどさ”を軽く見るようなことはしたくない。

けれど──
“今日”というタイミングや、
“この前の言動”を思い出してしまうと、
どうしても心のどこかで「本当に体調不良なのかな?」とよぎってしまうことがある。

疑うことは失礼だし、信頼関係を壊しかねない。
でも、何度も同じようなことが続いたり、
同じ人ばかりが欠勤を繰り返したりしていると、
こちらの気持ちも揺れてしまうのが本音だ。

「休んでいいよ」と言いながらも、
心の中では「なんでこのタイミングで…」と、
納得しきれない自分がいる。

そう感じる自分を責めることもあるけど、
それは“責任”を背負って現場に立っているからこそ出てくる感情でもあると思う。

信じたい。でも、気になってしまう──
その間で揺れる中間管理職の気持ちは、
想像以上に複雑で、言葉にしづらい。

仕組みで守れないなら、“信頼”でしか守れない職場

職場の安定は「仕組み」で守るのが理想だ。
予測不能な欠勤に備えて、スタッフ数に余裕を持たせたり、
急なシフト変更に対応できる体制を整えたり──
そうした工夫や準備は、現場運営の基本でもある。

でも現実は、そんなに理想通りにはいかない。
人員がギリギリ、他の職員もそれぞれの事情を抱えていて、
「急な欠勤に対応できる余裕」は簡単にはつくれない。

だからこそ、最後に頼れるのは“人と人の信頼関係”になる。

「あなたが大変なら、今回は私がカバーするね」
「次に私が困ったときは、お願いしてもいい?」
そんな支え合いがある職場は、崩れそうなときにも踏ん張りがきく。

でも、信頼って一度崩れると、取り戻すのに時間がかかる。
「またあの人か」と思われるようなことが続けば、
現場に“我慢の空気”が広がって、結局誰かが無理をすることになる。

仕組みだけでは守りきれない。
でも、信頼があると、ピンチのときも誰かが自然に動いてくれる。

だから今、自分がやるべきことは、
目の前の欠勤対応だけじゃなくて、
“信頼で支え合える職場の雰囲気”を育てることなんだと思ってる。

中間管理職として、どこまで踏み込むべきか?

体調不良は、基本的には疑うものではない。
それが本当かどうかを見極めるために、管理者が詮索したり、
「本当なの?」と問いただすことは、正直リスクもある。

でも、現場がギリギリの状況で、何度も同じ人から欠勤が出る。
他のスタッフが疲弊していく姿を見ると、
「これって、本当に“体調不良”だけが理由なのかな?」
そんな疑念が頭をよぎるのも、正直なところだ。

管理職としては、「信頼」と「公平性」のバランスが難しい。

誰かに甘くしてしまえば、「あの人だけ特別扱い」となるし、
かといって厳しく問い詰めれば、逆に信頼を失うことにもなる。

じゃあ、どこまで踏み込めばいいのか──
それは結局、“関係性”の深さや、“普段の信頼残高”に左右されると思う。

日頃から話しやすい関係を築けていれば、
「最近、少し無理してない?」と声をかけることもできる。

でも、普段から距離があると、それすらも難しくなる。

だからこそ、急なトラブルが起きてからでは遅い。
普段から、対話を積み重ね、
「困ったときには素直に言える空気」を作っておくこと。

それが、中間管理職としてできる“最大の踏み込み”なんじゃないかと思う。

まとめ:不信よりも“思いやり”の循環を作るためにできること

急な欠勤が続くと、現場はどうしてもギスギスしてしまう。
「またか…」という空気は、残ったスタッフの士気を下げてしまうし、
本当に体調を崩した人に対しても、思いやりの目を向けにくくなる。

でも──そんなときこそ、大切なのは「信じること」と「関わること」。

不信感を膨らませるより、
「この人も何かを抱えているのかもしれない」と想像すること。
そして、「何か困っていることある?」と一歩踏み込んでみること。

中間管理職に求められるのは、誰かを責めることではなく、
“チームの空気を整えること”なのかもしれない。

無理をしすぎず、でも他人事にしない。
そんな絶妙な距離感の中で、“思いやりの循環”を少しずつ作っていけたら、
職場はもっと、安心できる場所になる。

信頼も仕組みも完璧じゃないからこそ──
今日も少しずつ、整えていこう。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次