「任せたら、とんでもないことに。再開した在庫管理で思ったこと」

業務を他の誰かに任せる──
それは「信頼」の証でもあるし、「効率化」への一歩でもある。

でも、任せたままにしていた1ヶ月後。
帰ってきたのは、想像以上に荒れた“現場”だった。

結局、6時間ひとりで黙々と在庫整理。
思わず「もう、やりたくない…」ってつぶやきたくなるレベルだったけど、
その中で見えてきたこともあった。

今回はそんな“うまくいかなかった改善”の話。
そして、そこから感じた「任せること」の難しさと、次に繋げるための視点を綴ります。

目次

1ヶ月任せた在庫管理、その結果は…

食材は業者から週に2回しか納品されない。
でも、毎日きちんと管理していれば、それほど難しい業務ではない。
むしろルーチンでこなせる分、他の仕事よりもシンプルだと思っていた。

だから1ヶ月前、「ここは他のスタッフに任せてみよう」と決めた。
少しでも自分の時間を作りたい──そんな思いと、
チーム全体で業務をシェアする文化を育てたいという期待もあった。

任せる前には、在庫も整理して減らし、ルールも伝えていた。
見た目にも整っていたし、最初の数日は問題なさそうだった。

けれど今日──久しぶりに自分で在庫を確認して、思わず絶句した。

  • 食形態ごとに分けられていない
  • 数も把握されておらず、何がどこにあるのか不明
  • 質問しても「わからない」という返答
  • 自分から管理しようとする姿勢が見えず、放置に近い状態

「どこから手をつければいいんだ…」
気が遠くなるような散らかりように、頭に浮かんだのは“崩壊”という言葉だった。

任せたのは自分。
でもその“任せ方”に、問題があったのかもしれない──そう思わざるを得なかった。

結局ひとりで6時間。立て直し作業の現場

気づけば、自分ひとりで食材庫に立っていた。

誰かに頼る気にもなれず、淡々と目の前の混乱を片付けていく。
整理を始めてすぐ、「これは6時間コースだな」と悟った。

他のスタッフも「手伝いましょうか?」と声をかけてくれたけど、
過去の経験から「1人でやった方が確実に整う」と分かっていた。
それに、今回は「絶対にキレイに戻してやる」という強い気持ちがあった。

まずは、食形態ごとに在庫を仕分け直す。
賞味期限が近いものは廃棄、
冷凍庫の中のバラバラな食材を整理して、今の利用者数に合わせて再構成。
事務と連携して、今後の発注も調整した。

記録表も一から作り直す。
曖昧だったチェック項目を整理して、
担当者が迷わず続けられるよう、シンプルな様式に変えた。

今回はすべてを把握しようとせず、
「定数」と「変数」で分けて管理する方式に切り替えた。
定数=基本在庫として守るもの。
変数=日々の入退去や状態に応じて変わる部分。

もちろん、月末にはストック状況を正確に把握できるように、
細かいチェックは欠かさない。

そうして、ただ黙々と6時間。

「なぜここまで放置されたんだろう」
「どうしてもっと早く気づけなかったんだろう」

愚痴りたくなる気持ちを抑えながら、
同時に、どこかで自分にも責任があると思っていた。

頼んだからといって、すべてがうまく回るとは限らない。

「任せる」と「放っておく」は、違うんだ。

その言葉が、何度も心の中を巡っていた。

「怒り」じゃなく「責任感」が出てきた瞬間

正直、「なんでこんなにひどい状態になってたの?」って、
怒りたくなる気持ちがなかったわけじゃない。

「どうしてもっと真剣にやってくれなかったんだろう」
「任せた意味ってなんだったんだろう」

そんな思いも、頭をよぎった。

でも、怒る気にはなれなかった。

なぜなら──任せることは“指示して終わり”じゃないから。
任せた側が「どれだけ寄り添って見守れていたか」が大事なんだと、
今回のことで痛感した。

スタッフに悪気があったわけじゃない。
おそらく、「何をどこまでやればいいか」が曖昧だっただけ。
管理ができなかったのではなく、管理の“意味”が伝わっていなかったんだと思う。

中間管理職として、ただ「任せる」のではなく、
「どこまでやるのか」「どんなサポートが必要か」を
一緒に考えていくことが、自分の役割だった。

そう思えたとき、
怒りは責任感に変わっていた。

まとめ:「任せる」と「手放す」は違うという学び

改善を進める中で、「人に任せること」は避けて通れない。
時間も体力も限られているから、全部自分で抱えるわけにはいかない。

でも、今回の在庫管理の件で思った。

任せるということは、
「仕事を手放すこと」ではなく、「一緒に育てること」なんだ。

丸投げした結果、相手が迷ってしまえば、それは結局“自分の責任”として戻ってくる。
任せる側こそ、丁寧な引き継ぎと、ゆるやかな見守りが必要なんだと思う。

今回は6時間かけて整理し直すことになったけれど、
それもまた、自分にとっての「大事な失敗体験」だった。

そして次こそは、任せてよかったと思える形にできるように。
仕組みを整え、意味を伝え、一緒に動ける環境をつくっていきたい。

誰かに任せたとき、同じように「うまくいかなかった」と悩んでいる人がいたら、
今日のこの経験が、ほんの少しでもその人の支えになれば嬉しいです。

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